最高裁判所第一小法廷 昭和26(れ)640 判決
主 文
原判決を破棄する。
本件を東京高等裁判所に差戻す。
理 由
弁護人岩渕彰郎の上告趣意第一点及び第二点について。
原審公判調書によると、被告人は所論の如く、昭和二二年度の収獲米は一〇五俵
に過ぎず、内一〇〇俵余を供出したが、その割当数量が一二六俵で実収高を上廻つ
たゝめ、遂に二五俵余を供出し得なかつた旨を主張しており記録によれば、被告人
は右の主張を、警察以来一貫して述べているのである。そして米麦の供出割当数量
が実収高以上であつた場合には、実収高を越える部分については、供出違反罪は成
立しないのであるから、被告人の右の如き主張は、明かに旧刑訴三六〇条二項にい
わゆる、法律上犯罪の成立を阻却すべき原由たる事実上の主張にあたるわけで(当
裁判所昭和二三年(れ)第一七二四号同二六年七月一八日大法廷判決、判例集五巻
八号一四六五頁参照)、原審としては、かゝる主張に対しては何等かの判断を示さ
ねばならない筋合いである。然るに原判決は、被告人の右主張に対し何等の判断を
与えていないのであるから、論旨はこの点において結局理由があり、原判決は破棄
を免れない。
よつて刑訴施行法二条、旧刑訴四四七条、四四八条の二により主文のとおり判決
する。
この判決は斎藤裁判官の反対意見(判例集五巻八号一四七〇頁以下及び同巻一三
号二六六一頁以下参照)を除く外裁判官全員一致の意見によるものである。
検察官 浜田龍信関与
昭和二七年一二月二五日
最高裁判所第一小法廷
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裁判長裁判官 岩 松 三 郎
裁判官 真 野 毅
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官沢田竹治郎は退官につき署名捺印することができない。
裁判長裁判官 岩 松 三 郎
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